平家の栄華と没落を描いた軍記物語である

 

天草方言で読む〔平家物語〕   PDF 

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 朗読/平家物語

    2歳の女児  http://www.youtube.com/watch?v=_w0zTV3J6U8

   4歳の子供   http://www.youtube.com/watch?v=0DxlA4LrFM4

   4歳の女児    http://www.youtube.com/watch?v=fFMV75qmztQ

 琵琶演奏/祇園精舎:岩佐鶴丈 http://www.youtube.com/watch?v=5HGe_MI3akM

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 〈原文〉

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無情(しょぎょうむじょう)の響きあり。

娑羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(しょうじゃひっすい)の理(ことわり)を顕(あら)わす。

(おご)れる者久しからず唯、春の夜の夢のごとし。
(たけ)き人も遂(つい)にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵(ちり)に同じ

猛き人も遂にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ。
 遠く異朝を問(とぶ)らふに秦の趙高(ちょうこう)、漢の王莽(おうもう)、梁の朱伊(しゅい)、唐の禄山、

是らは旧主・先皇の政(まつりごと)に従はず、楽しみを極め、諫(いさめ)をも思い入れず、天下の

乱れむことをも悟らずして、民間の愁ふるところをしらざりしかば久しからずして亡じにし者なり。
 近く本朝を伺ふに承平の将門(まさかど)、天慶(てんぎょう)の純友、康和の義親、平治の信頼、

是等は驕(おご)れる心も猛(たけ)きことも 皆とりどりにこそありしかれども まぢかくは六波羅

入道前(さきの)太政大臣平朝臣清盛公という人の有様 伝へ承るこそ 心も詞(ことば)も及ばれぬ。

 

〈意訳〉
祇園精舎(古代インド寺)ン鐘の声は、諸行無常(つまり、万物は常に移り変わっとって、
いっときも現状バ保持でけん、儚かもんばい)ちゅて鳴り響いとる。
娑羅双樹の花ン色は、盛者必衰(盛んな者は必ず衰える)ちゅう世の道理バ現しとる。
だけん、豪奢な生活バしとる人も、いつまっでんそん地位に留まっとるこたでけん。
ちょうど春の夜の夢とおなしこったい。

勢力勇猛なもんな、結局滅びてしまう。風に吹き飛ばさるる塵ンごたるふうたい。
 古代中国の例で言ゑば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱伊、唐の禄山、こん人達ゃ皆、

自分の元主君とか先代の皇帝の政治バ疎かにして、楽しみごとにうつつバ抜かし、

人ン忠告にも耳バ貸さず、世の中が乱るることにも気付かんで、人民が苦しゅうどる

ことさえも知らんじゃったけん、長ごうせんうち、うっ潰れて破滅した者どもたい。
 近く、我が国でん、承平の平将門、天慶の藤原純友、康和の源義親、平治の藤原信頼、

こん人たちも、たんとき滅うだ。驕りはたがって、勇猛じゃったばってネ。
 最近じゃ、六波羅の入道前太政大臣平朝臣清盛公ちゅう人は、噂じゃ想像することも、

ことばにもできんごたるテイタラクちゅた。