我が国における現存最古の典籍。和銅5年(712) 帝紀 碑田阿礼(ひだのあれい)
天草方言で読む「古事記」 PDF
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古事記--大八島国の生成(原文)
於是二柱神議云。今吾所生之子不良。猶宜白天神之御所。即共參上。請天神之命。爾天神之命以。布斗麻迩爾【上。此五字以音】ト相而詔之。因女先言而不良。亦還降改言。故爾反降。更往迴其天之御柱如先。於是伊邪那岐命。先言阿那迩夜志愛袁登賣袁。後妹伊邪那美命言。阿那迩夜志愛袁登古袁。
如此言竟而。御合。生子淡道之穗之狹別嶋【訓別云和氣下效此】次生伊豫之二名嶋。此嶋者身一而有面四。毎面有名。故伊豫國謂愛(上)比賣【此二字以音下效此】讚岐國謂飯依比古。粟國謂大宜都比賣【此四字以音】土左國謂建依別。次生隱伎之三子嶋。亦名天之忍許呂別【許呂二字以音】次生筑紫嶋。此嶋亦身一而有面四。毎面有名。故筑紫國謂白日別。豐國謂豐日別。肥國謂建日向日豐久士比泥別。【自久至泥以音】熊曾國謂建日別【曾字以音】次生伊岐嶋。
亦名謂天比登都柱【自比至都以音訓天如云】次生津嶋。亦名謂天之狹手依比賣。次生佐度嶋。次生大倭豐秋津嶋。亦名謂天御虚空豐秋津根別。故因此八嶋先所生。謂大八嶋國。然後還坐之時。生吉備兒嶋。亦名謂建日方別。次生小豆嶋。亦名謂大野手(上)比賣。次生大嶋。亦名謂大多麻(上)流別【自多至流以音】次生女嶋。亦
名謂天一根【訓天如天】次生知訶嶋。亦名謂天之忍男。次生兩兒嶋。亦名謂天兩屋。【自吉備兒嶋至天兩屋嶋并六嶋】
(意訳)
イザナギとイザナミの二神は合体して子を生みましたが、生まれた子は水蛭子(ヒルコ)と淡島(アワシマ)じゃった。
二神は困って天津神に相談さしたりゃ、天津神は「女性が先に言葉を言うたけんいかん。もう一回やんなおせ。」と指示しなした。
そこで、再び二神は天の御柱バめぐって出会いばやりなおし、今度は先に伊耶那岐命が声をかけなした。
こう言い終わって合体さしたりゃ次々に子が生まれた。
淡道(あわじ)の穂の狭別(さわけ)の島 (淡路島)、伊予の二名の島(四国)、隠岐(おき)の三子の島(九州本島)、伊伎(いき)の島(壱岐の島)、津島(対馬)、佐度の島(佐渡が島)、大倭(おおやまと)豊秋津島(畿内)の八島を、次(つっ)から次ぃお生みなさった。
だけん、我が国のことば、「大八島国(おおやしまのくに) 」て、言うと。
そん次、吉備(きび)の児島(岡山県 児島半島)、小豆(あずき)の児島(香川県 小豆(しょうど)島)、大島(山口県 大島)、女島(大分県 姫島)、知訶(ちか)の島(長崎県 五島列島)、両児(ふたご)の島またの名を、天両屋(あまのふたや) (熊本県天草島):(異説には長崎県の男女群島)、てろん六島バ、お生(も)ちなさった。
- 中略 -
スサノオは「私の心が忠誠だったけん女の子が生まれた。私が誓約に勝った」ちゅうて、大御神の田ん畦バうっ壊したり、溝バ埋めたり、大嘗祭(だいじょうさい)の神殿に糞ば垂れ散らきゃーての暴行、はては、神に奉る衣バ)織る清浄な機屋(はたや)にも斑馬(しまうま)の皮バ逆剥ぎにして投げ込うだ。機織(はたおり)女は、ひっ魂げて頓死して(打っ死んで)しもうた。
さすがの天照大御神も、こりを見かねて天の岩屋の戸バ開けて、そん中に篭ってしまわれた。そんため、高天原も地上もすべて真っ暗闇の世界になり、色んな災いごとがあちこちで一時に起こってしもた。同時多発災難たいね。
こっじゃいかんと、大勢の神々がアメノヤスの河原に集まって、天照大御神(あまてらすおおみかみ)バ岩屋から連れ出す方策バ凝議なさった。オモイカネの神の提言で、先ず、鶏バ集めて鳴かする。榊に勾玉(まがたま)と鏡と木綿と麻とば付けて、フトダマの命が御幣として捧持し、アメノウズメの命は祝詞(のりと)を奏上する。
そして、アメノウズメの命は、乳房もあらわに裳(女の兵児)の紐バ股座(またぐら)に垂らして、伏せた桶バ踏み鳴らしながら踊り狂うて見せらした。
その様バ見て、集まった神々が、ひっくりかえって笑うたもんだけん、天照大御神は、不審に思うて、岩屋の戸バ少しばっかり開けて外バ覗きなさった。
そん時、すかさず岩屋の脇に隠れていたタジカラの神が、戸バ抉(こ)じ開けて天照大御神のお手を取って、外さんお連れ出しなさった。
こがんして、世界は再び元の明るさバ取り戻し、スサノオは暴行の罪に問われて追放されらしたったい。